楽しみにしていた千本桜は未だ咲き初め程度。「少々日程が早過ぎたかな」との声も聞かれ、準備体操後、2班に分かれて歩行開始。寺尾ケ原からは花粉が降りそそぐ車道を、ウグイスの声を聞きながら坂の峠(標高210m)を越え、汾陽寺参道入口(120m)まで1時間弱歩きました。途中、参道入口付近では繁殖期を迎えたカエルの集団の賑やかな鳴き声を久しぶりに聞きました。汾陽寺でトイレを済ませ、ショウジョウバカマの咲く山道に入り、町境の尾根まで登って小休止、水壷弘法を通過し、ミツバツツジを見ながら中洞への分岐点に出ると、緩やかな尾根道となりました。分岐点から15分余りで三角点の位置する汾陽寺山頂(520m)に到着、そこで食事を摂り、暫時の休憩後、記念の写真を吉村さんに撮って頂きました。そして出発。歩くこと15分足らずで送電線165号の鉄塔(440m)に到着。そこから鉄塔の下から紅葉ケ滝までピストンコースを取りました。急な坂下りとトラバースを繰り返して谷川に出て、橋を渡って下流方向に数分歩くと、紅葉ケ滝「標高250m、落差5m」と説明書きがありました。周辺にはカエデの大きな木々が何本も生えている様子から、紅葉の季節には、さぞや映えることであろうと想像しました。
紅葉ケ滝から、先ほど下りたコースを再び165号の鉄塔まで上り、そこで開けた展望を暫くの間楽しみました。雪をかぶった真っ白な御嶽山、白山、能郷白山などの山々が霞の中に遠望され、近くに見えるあちこちの尾根には、タムシバが真っ白く、ひと際目立って咲いていました。実に美しい自然の眺めでした。さて、そこからはひたすら下るのみ、尾根道から別れ、やがて166 号鉄塔まで来て、寺尾ケ原を見下ろすと、駐車場は一面薄紅色に染まっていました。四半日の間に花はかなり開いたのです。それだけ今日は暖かかったことでしょうか。ゆっくりとした実に楽しい山行でした。駐車場は春爛漫の賑わいでした。
でも、美しい自然とばかりは言えません。同じ地続きにて、30日前、突然の恐怖と苦しみに遭遇し、甚大な災害を蒙ったのも同じ自然の力によるものです。また引き続く放射線の危険性に対峙され、重い大きな苦労を担っている大層多くの方々が居られるというのに、このようなゆっくりとしたお花見山行ができた我々は幸せで、誠に申し訳ないと、心から感じとった次第でした。「さまざまなこと 思ひだす 桜かな(芭蕉)」というところでしょうか。
帰りに立ち寄った保木山のカタクリの花、これは本日の思いがけない特別付録でした。保護している近隣の人達に感謝申し上げた次第でした。